去年から多くのリーク情報やスクープ写真画像で登場が噂され、ネット上でも幅広いユーザーに取り上げられ盛り上がっていた新型の『Jimny (ジムニー )』。
先代の三代目ジムニーは、歴代モデルのなかでも最長期間にわたり販売。じつに JB23(三代目) 発売から20年ぶりに全面改良され〈2018年7月5日〉より発表発売を開始しました。
- ▼Jimny について
- ジムニーの特徴
- エクステリア(外観)
- インテリア(内装)
- 収納装備・積載
- 安全装備
- 動力関連
- 燃費
- グレード・販売価格
- ボディカラー
- 詳細スペック(装備・諸元)
- 【試乗評価】ジムニー[JB64]
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ジムニーの特長
〈2018年7月5日〉より発表発売された『ジムニー』は、本格的な四輪駆動車の機能と走破性を高めた軽四輪駆動車。
初代ジムニーは1970年当時、軽自動車で唯一の四輪駆動車として発売。軽乗用車としてのコンパクトで取り回しの良い車体が、狭くて起伏の激しい悪路をも走破できるため、一般ユーザーのレジャー目的だけでなく、様々な作業現場や山間部・積雪地の重要な交通手段として厳しい環境で活躍しています。
新型ジムニー[4代目・JB64型]特徴
- 専用チューニングのR06A型ターボエンジン
- 新開発ラダーフレーム
- 理想的な駆動・重量配分のFRレイアウト
- 副変速機付パートタイム4WD
- 3リンクリジッドアクスル式サスペンション
- ブレーキLSDトラクションコントロール
- ヒルディセントコントロール
- ヒルホールドコントロール
- クルーズコントロールシステム(XC)
- ヒーテッドドアミラー(XC、XL)
- ヘッドランプウォッシャー(XC)
- 安全運転サポート(デュアルセンサーブレーキサポート含む)機能搭載。
- ESP[車両走行安定補助システム]
- エマージェンシーストップシグナル
- 高剛性化、高強度化したフロントシートフレーム
- リヤシートバック背面と荷室を樹脂化した、防汚タイプラゲッジフロア
- 荷室の使い勝手を高める、ユーティリティーナットと荷室フック用ナットを設定
車体サイズ・重量
ボディサイズ
- 先代 ジムニー
- 全長3,395mm × 全幅1,475mm × 全高1,680mm
- 新型 ジムニー
- 全長3,395mm × 全幅1,475mm × 全高1,725mm
新旧のボディサイズ差は、軽乗用車という大きさを限定される規格におさめるため、長さ・幅は同じ。ゆいつ全高が〈45ミリ〉高くなっています。
ホイールベースとトレッド
- 先代 ジムニー
- ホイールベース 2,250mm
トレッド 前1,265mm / 後1,275mm - 新型 ジムニー
- ホイールベース 2,250mm
トレッド 前1,265mm / 後1,275mm
トレッドとホイールベースは、以前からの噂通り数値に変化はなし。
車両重量
- 先代 ジムニー
- 970 -1,000 (kg)
- 新型 ジムニー
- 1,030 – 1,040 (kg)
クルマの重量は先代モデルより重量増に。近年のスズキ自動車の開発方針からいけば軽量化の方向へ進むのがセオリーでしょうが、ボディ剛性の強化や安全サポート用の電子機器などの搭載により重量アップは避けられませんでした。
タイヤ・ホイールサイズ
標準で装着されるタイヤ・ホイールサイズとも、新型(JB64)・先代(JB23)の仕様に変更はありません。
- 先代 ジムニー
- タイヤ:175/80R16 91S、ホイール:16インチ 5.5J(+22)
- 新型 ジムニー
- タイヤ:175/80R16 91S、ホイール:16インチ 5.5J(+22)
新型ジムニーに新車装着されるタイヤは BRIDGESTONE(ブリジストン)の『DUELER(デューラー)』。
デューラーは、ブリジストンの SUV/4×4 用のタイヤブランドで、直進安定性や低燃費性能、耐久性などを重要視した形状・構造を設計しています。新型ジムニーに採用されたタイヤは『DUELER H/T684 II』で、サイズは[175/80R16 91S]が装着されています。
外観(エクステリア)
新型ジムニーのエクステリアデザインは従来のコンセプトから大きく変わり、先代の曲面をいれた『角丸』なものから、質実剛健的な『角ばった』モノへと変更されています。
メーカーのデザイン部門の主張としては『専門家が愛用する「プロの道具」をデザインコンセプトに、機能に徹した飾らない潔さを追求』したとのこと。とくに外観で特徴的なのが、丸型ヘッドランプ、5スロットグリル、クラムシェルボンネットフードなどの、ジムニーの伝統を継承するデザインアイコンを随所に取り入れています。
このデザインは、発売前のリーク写真がネットに上がった時点から多くのユーザーに好意的だったため、新型ジムニーの大ヒットを予想させるものとなりました。
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内装(インテリア)
インテリアは、シティユースに限定したクルマと違って、オフロードなどの過酷な環境下での、運転のしやすさや各部の操作性にこだわった仕様になっています。
装飾的な見た目を優先せず、機能に徹したデザイン。オフロードフィールドでの車両の姿勢・状況を把握しやすい、水平基調で力強い基本骨格のインストルメントパネルや、ドアミラー付近の視界を拡大する形状のベルトラインを採用しています。
また、スイッチ類など操作部には、使いやすさと光の反射を抑え、小傷が目立ちにくい質感の高いシボを採用。
悪路走行路に大きな負荷がかかる座席には、高剛性化、高強度化したフロントシートフレームを採用。シートフレームの幅を70mm(先代モデル比)拡大し、上下クッション性能の向上と適正な耐圧分布を確保して乗り心地を向上させています。
さらに新型ジムニーでは、居住性を向上するため、前席のヒップポイントを30mm後方に下げながら、前後乗員間距離を40mm拡大させています。シート表皮は上級、標準とグレード別に2種類が用意され、上級では撥水機能を備えた黒地のトリコット生地にアクセント色を加えています。
収納装備・積載
アウトドアレジャーや作業現場へは様々な荷物を積載することがあります。そんな幅広いニーズに応えるために、バックドアには大きな開口部と、ラゲッジには大容量の荷室を用意。荷室床面はフラットとなり、よりスペースを活用できます。
リヤシートバック背面と荷室を樹脂化した、防汚タイプラゲッジフロア(ジムニーXGを除く)の仕様により汚れに強く、荷物の出し入れをスムーズにおこなえます。また、後席シートベルトを脱着式とすることで、後席シートバックを倒したさいの積載性を向上。さらに、荷室の使い勝手を高める『ユーティリティーナット』と『荷室フック用ナット』を設定しました。その他にも、ラゲッジボックス(ジムニーXGを除く)ツールボックスを装備。
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安全装備
新型ジムニーではシリーズ初の『安全運転サポート(デュアルセンサーブレーキサポート含む)機能』を搭載。
スズキ セーフティ サポート
デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)では、単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、ハイビームアシスト、先行車発進お知らせ機能を搭載。
また、車両進入禁止、はみ出し通行禁止、さらに最高速度”の各標識をメーター内に表示させドライバーに通知する「標識認識機能」を採用しています。
衝突安全
クルマが衝突したときの安全対策として、運転席、助手席SRSエアバッグ、フロントシートSRSサイドエアバッグに加えて、SRSカーテンエアバッグを全車に標準装備。
さらに、衝撃を効率よく吸収・分散する軽量衝撃吸収ボディー[TECT]、歩行者の頭部・脚部へのダメージを軽減する歩行者傷害軽減ボディーを採用。また、後席乗員にもシートベルトの装着を促す後席シートベルトリマインダーを装備。(ジムニーXGを除く)
エンジン・駆動系
新型ジムニーのフレーム構造は、剛性と耐久性にすぐれたラダーフレームを先代モデルと同じく採用。またエンジンには、現在のスズキ軽乗用車で普及している新世代エンジンを搭載しています。
ラダーフレーム
先代ジムニーでも採用していたラダーフレームを新しいプラットフォームに合わせて開発。
梯子型に組んだ頑強なラダーフレーム構造は、そのまま継承。さらに新設計のラダーフレームには、X(エックス)メンバーと前後にクロスメンバーを加えたことで、ねじり剛性を約1.5倍(先代モデル比)向上。
また、車体とラダーフレームをつなぐボディーマウントゴムを新設計したことで乗り心地を改善し、優れた操縦安定性を実現しています。
エンジン
4代目ジムニーに搭載されるエンジンは、Spacia(スペーシア)や Wagon R(ワゴン R)などにも採用される[R06A型]を搭載。さらに低回転からの力強いトルクと信頼性を追求したターボチャージャーを追加してジムニー専用のチューニングを施しています。
これによって悪路の走破に必要なパワーをジムニーあたえて、優れたオフロード性能に貢献させています。
型式 | R06A型 |
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種類 | 水冷4サイクル直列3気筒インタークーラーターボ |
総排気量(L) | 0.658 |
圧縮比 | 9.1 |
最高出力(kW/rpm)ネット | 47〈64PS〉/6,000 |
最大トルク(N・m/rpm)ネット | 96〈9.8kg・m〉/3,500 |
ボア(mm) | 64.0 |
ストローク(mm) | 68.2 |
ストローク/ボア | 1.07 |
VVT | 吸気VVT |
エンジンオイル粘度 | 5W-30 |
駆動系
FRレイアウト
駆動系は、エンジンをフロントタイヤ前端より後方に配置したFRレイアウトで、信頼の駆動力伝達と優れた重量配分を実現。また、険しい凹凸を越えていくために必要なアプローチアングルを確保しており、本格 4WD モデルの原点です。
パートタイム4WD
高い脱出性能を実現するだけでなく、シンプルな構造によって高い信頼性を確保。過酷な環境を走るからこそ、ジムニーはパートタイム4WDを採用し続けてきました。
悪路走破性に優れる機械式副変速機付きパートタイム4WDを採用。路面状況に合わせて2WDと4WDを任意に切替えて走行できる。
機械式副変速機
悪路走破に重要なドライブシステムとして、歴代のジムニーでは機械式副変速機をそなえたパートタイム 4WD にこだわってきました。
新型ジムニーでも、この伝統は受け継がれており、副変速機の手動レバーを操作することで 4WDは 4H(高速)、4L(低速)のモードに切替えが可能。4L では、通常の約2倍の駆動力を発揮し、急な登坂路やマディ(泥深い)な悪路の走破性を高めます。
電子制御LSD
新型ジムニーには、さらに走破性能を高める最新のドライブデバイス『電子制御ブレーキLSDトラクションコントロール』を全車に標準装備。これによって 4L(低速)モード走行時、エンジントルクを落とすことなく、空転した車輪にだけブレーキをかけることで、もう一方の車輪の駆動力を確保。とくにマディな路面からの高い脱出性能を実現させています。
サスペンション
サスペンションシステムには、厳しい路面状況でも優れた走破性・操縦安定性能の実現する『3リンクリジッドアクスル式サスペンション』を採用。このサスペンションユニットは歴代ジムニーの伝統的なモノで、シンプルな構造ながらも過酷な路面状況をクリアするのに最適なサスペンションシステムです。
3リンクリジッドアクスル式サスペンションは、一般的な乗用車の独立懸架式サスペンションに比べ、凹凸路で優れた接地性と大きな対地クリアランスを確保できるうえに、堅牢な構造により過酷な使用環境にも耐える信頼性を実現します。
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燃費
5MT
燃料消費率※1(国土交通省審査値) | 16.2 km/L |
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市街地モード※2 | 14.6km/L |
郊外モード※2 | 17.5km/L |
高速道路モード※2 | 16.5km/L |
4AT
燃料消費率※1(国土交通省審査値) | |
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市街地モード※2 | 11.0km/L |
郊外モード※2 | 13.9km/L |
高速道路モード※2 | 14.2km/L |
- ※1 燃料消費率は定められた試験条件での値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて燃料消費率は異なります。
- ※2 WLTCモード:市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード。
市街地モード:信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定。
郊外モード:信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定。
高速道路モード:高速道路等での走行を想定。
グレード・変速機別 詳細燃費
機種名 | エンジン | 駆動 | 変速機 | 燃料消費率 WLTCモード走行※5(km/L) |
価格(円) | |||
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WLTCモード※5 | 市街地モード※5 | 郊外モード※5 | 高速道路モード※5 | |||||
XG | 0.66L DOHC 吸気VVT ターボ |
パートタイム4WD | 5MT | 16.2 | 14.6 | 17.5 | 16.5 | 1,458,000 |
4AT | 13.2 | 11.0 | 13.9 | 14.2 | 1,555,200 | |||
XL | 5MT | 16.2 | 14.6 | 17.5 | 16.5 | 1,582,200 | ||
4AT | 13.2 | 11.0 | 13.9 | 14.2 | 1,679,400 | |||
XC | 5MT | 16.2 | 14.6 | 17.5 | 16.5 | 1,744,200 | ||
4AT | 13.2 | 11.0 | 13.9 | 14.2 | 1,841,400 |
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グレード・販売価格
軽乗用車の新型ジムニーのグレード別の販売価格。販売されるグレードは3つ(従来モデルでは2つ)のラインナップ。
- XG
- [MT]1,458,000円、[AT]1,555,200円
▶︎主な装備
●運転席・助手席SRSエアバッグ ●SRSカーテンエアバッグ ●フロントシートSRSサイドエアバッグ ●マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ ●エアコン ●フロント2スピーカー ●16インチスチールホイール など - XL
- [MT]1,582,200円、[AT]1,679,400円
▶︎主な装備(XGにプラス)
●フロントマルチリフレクターハロゲンフォグランプ ●フルオートエアコン ●キーレスプッシュスタートシステム ●電動格納式リモコンドアミラー ●スモークガラス など - XC
- [MT]1,744,200円、[AT]1,841,400円
▶︎主な装備(XLにプラス)
●デュアルセンサーブレーキサポート ●LEDヘッドランプ ●ヘッドランプウォッシャー ●クルーズコントロールシステム ●LEDサイドターンランプ付ドアミラー ●16インチアルミホイール など
《2トーンカラー:『XC』モデルのみ、ボディペイントに2トーンカラーの選択が可能。2トーンのオプション価格は、下項目『ボディカラー』を参照してください。》
最廉価グレード『XG』が〈146万円〉と、3代目の最廉価グレード XG より約15万円ほど値上がりしています。ただし、新型には最新の安全支援装備(自動ブレーキ等)が採用されるため、大変お買い得なクルマです。
また、全車に横滑り防止装置が搭載されたり、オートマチック(4AT)車両には、アイドリングストップが装備されるなど、長いあいだ無骨でローテクだったジムニーも現代技術の波に遅れながらも乗るカタチになります。
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ボディカラー
新型ジムニーでは従来モデルと比べて多くのペイントカラーが選択できるようになりました。まずはジムニーのイメージカラーでもある紺色をベースにしたネイビーブルーを筆頭に、ブラック、シルバー、ホワイト、ベージュ、そして特徴的なビビットイエローなど。また、オプションで2トーンカラーを選ぶこともでき、さらに『ブラックトップ2トーン』仕様が設けられました。
- キネティックイエロー(ZZB)
- シフォンアイボリーメタリック(ZVG)
- ブリスクブルーメタリック(ZWY)
- ミディアムグレー(ZVL)
- ブルーイッシュブラックパール3(ZJ3)
- ジャングルグリーン(ZZC)
- シルキーシルバーメタリック(Z2S)
- ピュアホワイトパール(ZVR)
- スペリアホワイト(26U)
2トーンルーフ
- キネティックイエローブラック2トーンルーフ(DG5)
- シフォンアイボリーメタリックブラック2トーンルーフ(2BW)
- ブリスクブルーメタリックブラック2トーンルーフ(CZW)
トップ2トーン
- キネティックイエローブラックトップ2トーン(DHG)
2トーンカラーオプション価格
- 2トーンカラーは『XC』モデルのみ選択できます。
- イエロー、アイボリー、ブルーのボディカラーのみブラック2トーンカラーペイントが可能になります。オプション価格は〈43,200円〉です。
- イエローのボディカラーのみ、ボンネットもブラックペイントにした2トーンカラーの選択が可能。オプション価格は〈64,800円〉です。
詳細スペック(装備・諸元)
主要装備・主要諸元の各画像はクリックで拡大できます。
主要装備
主要諸元
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ジムニー 試乗レビュー
3代目ジムニー発売から約20年が経過した〈2018年7月5日〉に、軽乗用車の新型『ジムニー(JB64型)』が普通乗用車モデル『ジムニーシエラ(JB74型)』と一緒に発表発売されました。
四駆ユーザーから愛される軽乗用車のジムニーは、日本独自の軽自動車規格という小さいボディでありながら優れた走破性をもつ、軽乗用車では唯一の本格的クロスカントリー 4WD です。
また、4代目新型の堂々としたエクステリアデザインは、写真情報がリークした頃からインターネット上では高い関心を集めていました。さらに軽乗用車ジムニーは、自動車税をふくめた維持費が安いことで、現在多くのドライバーが注目するクルマとなっています。
今回は、購入するユーザーが多いと思われる AT(オートマチック・トランスミッション)に乗ることができました。
試乗車のグレードは上級モデルの『XC』なので主要装備はフル装備。オーディオ・カーナビゲーションのユニットはディーラーオプション扱いなため非搭載。フロントスピーカー・ユニットのみ標準装備です。
インパネ・スイッチ類
まずは車内に乗り込んで目に入ったのが『本革巻ステアリングホイール』に装備される各種操作スイッチ。これらは『XC グレード』を選ばないと装備されません。
試乗した日は大雨。ウィンドウの曇り止めと、蒸し暑い室内を除湿するためエアコンを使うから早速エンジンをスタート。最近の車らしくエンジンは始動ボタンを押すだけで軽快に動きだします。アイドリング状態のエンジン可動音・排気音ともに静か。
エアコンは、全グレードともにフルオートエアコン(エアフィルター付)。基本操作はダイヤルで調整可能なため扱いやすく、センターの丸型ディスプレイに表示される設定温度などの情報が整理され見やすい。
さらに、エアコン操作パネルの下にはセンタースイッチが設けられており、左右にパワーウインドースイッチ、センターに ESP OFF スイッチ、ヒルディセントコントロールスイッチが配置されます。
運転中はつねに視線がいくメータークラスターは、左側がタコメータ、右側がスピードメータ。中央の表示部分は『XC』および『XL・XG(スズキ セーフティ サポート装着車)』であれば『マルチインフォメーションディスプレイ』が装備され、基本的情報(時計、燃料量、外気温度、航続可能距離、瞬間燃費・平均燃費など)のほか、安全サポートシステムからの情報が表示されます。
走行・加速
変速機にオーソドックスな4速オートマチック搭載したジムニーで走り出します。試乗日の天候は、かなり雨量が多い日だったので、晴れの日では体験できない情報がキャッチできるため試乗条件としては良好です。
まずは変速セレクタを『D』にしてフットブレーキから足を離すと、軽乗用車の小排気量エンジンでもシッカリとしてクリープ走行により、歩く速度くらいでディーラーの出入り口へとすすむ。
車道へ侵入するためアクセルと4分のIほど踏み込むと、ゆるやかな加速がはじまる。アクセルの踏み込み量をそのまま維持してると、ユッタリと加速しながら速度にあったシフトアップがされる。
新型ジムニーには、小さい排気量のエンジンにパワーを与えてくれる強制過給機(ターボチャージャー)を搭載しているが、車両重量が1トンを超えるため加速は速くない。
変速機が CVT であれば、もう少し効率良い加速がえられるが、4AT と車重があるボディの組合せであるため、あるていどアクセルを踏み込まないとスピーディーな加速にはならない。そのため、流れの速いバイパスなどのシグナルスタートや、勾配の高い登坂では、アクセルを意識的にサクッと踏み込まないと、周辺の車の流れに合わせられないでしょう。
やはり、新型になってもジムニーのセールスポイントは悪路走破性であって、爽快な加速感や、良好な燃費を求めているクルマではないことが分かります。
ハンドリング
ハンドル操作を補助してくれるのがパワーステアリング。新型ジムニーでは電動パワーステアリングを採用。電動式のパワーステアリングは、同じメーカーであっても車種ごとに操舵感に差があります。
ジムニーでは、徐行スピードでは軽めのステアフィーリングですが、スペーシアやワゴン R と比べると若干重め(それでも軽い)。速度が少し上がると重めの操舵感に変動していきます。
ハンドル中央の回転遊びは大きく感じらず、あるていど動かすと少しタイヤが動く設定。ただしダイレクト感は薄い。速度が上がってコーナーを〈30 〜 40 km/h〉でハンドルを大きく操作しているときは、適度に重さとダイレクト感があるフィーリングになり好感が持てます。
足回り
ジムニーに試乗したドライバーなら分かることなのですが、乗り心地は少しハードな設定です。軽乗用車のスポーティー版となるカスタム系では、車体のロールおさえるため足回りの設定は固めですが、それと同等硬めの乗り心地です。
たとえば、ファミリーカーではほとんど気にならない路面の細かい凸凹も、あるていど衝撃を伝えてくる感じです。なので、路面のうねりや、つなぎ目を越えると身体も左右上下に振られます。
これは、サスペンションの初期作動のレートが高いのか、ある程度の衝撃を入力してからサスがストロークする設定のようです。そのため、SUV に乗りなれているドライバーでもスパルタンな乗り心地になります。
ただ、コーナーでも車体ロールが抑えられるため、峠道のコーナーリングは楽しめるでしょう。
ちなみに普通乗用車の『ジムニーシエラ《リンク先は試乗評価》』では、よりサスペンションの設定は固めでした。
遮蔽性
新型ジムニーで嬉しいのが、あらゆる雑音を抑えてくれる高い遮蔽性。
ロードノイズが十分に抑えられており、加速中のエンジン音の車内への侵入も高いレベルでカットされています。またドアガラスも含めて密閉性も高いためか、対向車とのすれ違いや、風を巻き込む音の低減も良好。
試乗した日は大雨のでしたが、タイヤが水をはじく音、タイヤハウス内に飛び散る雨水の雑音も抑えてあります。ただしルーフ周辺に電線や枝から落ちてくる大粒の水滴は、それなりの大きい音で聞こえます。しかし、このあたりは多くのクルマでも同様なので仕方ないかと。
悪天候でも、これだけ静かであれば良質なカーオーディオを奮発したくなるユーザーも増えることでしょう。たぶん先代ジムニーのオーナーには驚きの静かさかと。
運転のしやすさ
エクステリア(外観)を見ればわかりますが、ジムニーはボディもピラーは切り立った設計になっているから、車体感覚がつかみやすいうえに、ウィンドウガラスの面積が広いため死角が非常に少ない。
普通に運転していてもアイポイントの高さと安全確認のしやすさによって疲れないドライビングができます。さらに、高い回頭性をもつため、狭い駐車場のパーキングスペースへの停車も非常に楽です。
セーフティ(運転支援)
試乗でも、なかなか試す機会がないのが運転サポートシステム(略称:サポカー)です。わざわざ危険な状況を試乗で実行するのは…今回の試乗でたまたま確認できたのが『先行車発進お知らせ機能』と『車線逸脱警報機能』でした。
『先行車発進お知らせ機能』は、渋滞待ちでメーターディスプレイの表示情報を操作しているときに前のクルマが動いて離れたときに「ピピッ」と優しいアラーム音が鳴りました。
もうひとつの『車線逸脱警報機能』は、曲がりくねった裏道を走行中に、あいまいなハンドル操作でセンターラインに近付いたのを警告行為とみなして「ピピピピ!」とブザーが鳴りました。こちらの警告音はキツ目で、メーターの情報ディスプレイにも赤文字で警告文が表示されました。裏道のセンターラインや路側帯はペイントされてから年月が経過しているので、ひび割れなどでラインが劣化している状態でしたが、カメラセンサーは的確に状況を捉えていたようです。
まとめ:
本格的な 4WD 駆動系、フレーム、サスペンションをもつジムニー。
昔から乗っているコアなユーザーだけでなく、初めてジムニーを知った世代の関心が非常に高いようです。
ただ、ジムニーは月間生産量が1000台程度と少ないクルマです。そのため、発売から2週間で年間生産量を超える発注分(バックオーダー)をかかえています。いまからオーダーをかけても凄まじい納車待ちを覚悟しなければなりません。
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