GIANT(ジャイアント)が販売する Toughroad(タフロード)は、スポーツ自転車のジャンルで言うと『グラベルバイク』です。
そのグループには、ロードバイクの設計思想をベースにした、砂利道も走行できる『グラベルレーサー』と『オールロード』。MTB(マウンテンバイク)の設計思想をベースに、さらに荒れた砂利道を走破できる『アドベンチャーバイク』があります。
アドベンチャーバイクの Toughroad は、MTB が想定している岩場や大きい石が路面をおおうルート以外の走行を前提に開発しています。そのため、重量が増えたり定期的なメンテナンスを必要とするサスペンションは装備していません。そのかわり、フォークへキャリアとパニアケースの装着を容易にしたり、重くなりがちなアドベンチャーバイクのなかでもバイク重量は軽量です。
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Toughroad SLR 2 仕様
Toughroad SLR 2 は、シリーズ・ラインナップ《※1》のなかでは廉価版のモデル。フレーム・フォーク強度や装備的に価格が落としにくいアドベンチャーバイクですが、販売価格は税抜きで〈¥ 110,000〉と、かなりリーズナブルなプライス。ただし、安かろう悪かろうじゃないところが GIANT ブランドの凄さ。
《※1:世界展開で販売されている Toughroad は、SLR 0、SLR 1、SLR 2 と『3つ』ありますが、日本では SLR 1 は販売していません。》
バイクに重要なフレーム設計は〈2017年モデル〉と同様ですが、フォークは新たに設計変更がされています。主な変更点は、油圧ブレーキのオイルラインをフォークブレード内蔵式へと改良。さらにシートポストも新設計です。また、ホイールセットも大きく設計変更されており重量も軽量化されています。
バイク重量
購入した2018年モデルの Toughroad SLR 2 のサイズは最小の〈XS(390 mm)〉です。気になる重量はペダルレスで〈約 11.1 kg〉と GIANT の公表重量〈約 11.2 kg〉とほとんど差がありません。
2017年モデルの SLR 2 が〈約 11.5 kg〉だったので〈約 400 g〉は軽量化できてます。ブレーキシステム、ドライブトレイン系は前年と同様なため、新型ホイールセットだけで軽量化できたのか?非常に気になるところです。
もっと軽量化したいのであれば、タイヤ、チューブ、ハンドルなどから交換していくのが効果的。最終的にドライブ系(変速機・ギア)を上級グレードへ変更すれば、かなり軽量化できます。
なんと言っても、11万円台の完成車アドベンチャーバイクで、この重量なら断然軽い。他社ならフレームセットだけで10万円に迫るのも珍しくありませんから。
私が所有する Toughroad SLR 2 は軽量化を進めており、フレーム、フォーク、シートポスト以外は全ての部品を交換します。バイク重量は実際に組み上がってみないと分からないのですが、ドライブ系には[Shimano XTR / 2 × 10 s]を採用、ペダル込みでも〈9 kg〉台は間違いないでしょう。
この件については、別ページ〔3:構成パーツ交換・軽量化〕にて掲載します。
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ドライブトレイン
ドライブ系の構成は、2017年モデルと同じく Shimano(シマノ)製。変速用のディレイラー、シフターには[Shimano ACERA(3×9段)]を採用。コストを抑えるためクランクセットとブレーキセットは[Shimano ALTUS]を選択しています。
クランクセットはチェーンリングが3枚あり、それぞれの歯数は〈22 / 32 / 44T〉。
29インチホイールにワイドタイヤを装着する Toughroad は、同じホイール径の MTB よりアウターチェーンリングが大きいが、センターとインナーギアで小さい歯数が用意されるため、用途や路面状況によって適切なペダリングができます。
リアドライブのディレイラーは、9段変速用[ACERA]にカセットコグ(ギア)[SHIMANO HG300 9S 11-34T]が入る。
前後のドライブセットとも、26インチホイール MTB のドライブ系と同じ構成で信頼性が高く、ワイドレンジな変速ギアを備えています。このグレードの補修部品は安価で容易に入手できるため、ハードに長距離を乗りこなすユーザーにも安心。
リアアクスル(後輪ハブ軸)は、標準的なスポーツ自転車が採用する QR(クイックリリース) で、アクスル幅は〈OLD 135mm〉。また、チェーンステイにはフレームデザインに合わせた樹脂性チェーンガードが装着されます。
ギア変速を手元でスピーディに操作できるシフターは[Shimano ACERA]。MTB入門向けに開発された廉価クラスですが、設計と部品精度が高く作動感はいたってスムーズ。
変速するために変速レバーを親指で押したり、人差し指で引いたりするのですが、シフティングは非常に軽く、幅広いユーザーが簡単に操作できます。親指の変速レバーは大きめのレバーアクションが必要ですが、軽く押すことで変速が可能。
人差し指の変速レバーは手前に軽く引けば、非常に素早く変速が完了します。
さすがはシマノ製だけあって外れた作動感がありません。操作感が軽いうえに確実な変速が行なわれるため、老若男女おおくのユーザーが迷わず使いやすい変速システムになっています。
ただし、変速レバー機構には、上級モデルに用意される2ウェイリリースのラピッドファイアは採用されていないため、従来シリーズの操作に慣れていないとリリース操作に戸惑うことがあります。
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ホイール
ホイールセットは2018年モデルから新しい設計になっています。
ただ不思議なことに、カタログ仕様ではリムが[GIANT SX-2 28 H]となっていますが、実際に販売されているモデルには、上位ホイールの[GIANT PX-2 28 H]が装着されています。スポーク本数が前モデル[GIANT SX-2 32 H]より4本減ったことで若干の軽量化と見た目がスッキリしています。
ホイール仕様は、リムが自社のオリジナルリムでリムハイトは〈約 25 mm〉の高さがありセミディープリム形状。チューブレス対応リムになっているため、チューブレス専用エアバルブを用意すればタイヤのチューブレス化が可能。
タイヤ
GIANT は多くのバイクアクセサリーをが開発していますが、近年は自社製タイヤにも力を入れています。
Toughroad ホイールに装着されるタイヤは[GIANT SYCAMORE S 700x50C]。低いノブ(ブロック)が集まったパターンのセミスリックタイヤで、密集した菱形ノブの効果によってオフロード走行にも対応する。タウンユースからグラベル(砂利道)、オフロードと幅広く走れる万能タイヤ。推奨空気圧は〈2.1~4.2 ber〉。
タイヤの重量は〈730g〉でワイヤビート。チューブは〈190g〉と両方とも軽量級ではない。
ブレーキ
ブレーキシステムは、全天候対応でハードユースにも頼もしい油圧ディスクブレーキ。
ブレーキレバーは[SHIMANO M315]、ブレーキキャリパー[SHIMANO M315]で、ブレーキローターは160mmを採用。ブレーキローターのスリット(ドリルド)パターンは独特なモノなっており制動フィーリングが気になるところです。
ハンドル / ステム
ハンドルバーは[GIANT CONNECT XC RISER 31.8 640mm]。形状は MTB のように少し上体を起こしたポジションがとれるライザーバー仕様。
29er MTB などに多く採用される幅広いハンドル幅(700〜740ミリほど)よりは短く、クロスバイク用(580ミリ前後)と比べると長い。26インチホイール MTB 時代に採用されたハンドル形状です。
ハンドルの形状と幅は、29er ホイールとフレームを軽快にコントロールするのに良好。ハンドルの曲げ量を表すスイープ角は、上と後ろ方向に大きく曲げがあるため、トップチューブが長い Toughroad のフレームでも、ハンドルグリップへ自然と手が届きます。
ステム長はフレームサイズによって長さが延長されますが、サイズ〈XS〉フレームのステムは〈長さ:70ミリ / 角度:8度ほど〉。私は上半身を低い姿勢にするため、ステムを逆さまに取付け、高さはコラムチューブの一番下へセットしています。
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サドル / シートポスト
サドルとシートポストは GIANT 自社開発のオリジナルパーツ。両方とも2018年モデルから新設計の新型パーツに変更されています。
サドルは[GIANT CONTACT NEUTRAL]で従来モデルよりスポーツバイク向けとして長距離ライドに対応する設計もほどこされ形状はよりシャープに。モデルチェンジとともに全体的に軽量化設計されており、クッション部分も薄くなっています。
シートポストは GIANT 独自規格『D-FUSE』。ポスト断面形状がアルファベット『D』に似たカマボコ形状になっており、お尻にかかる衝撃をシートポストを弓なりに後方にしならせることでショックを緩和させます。非常に効果のある優れたシートポストなのですが、フレームのシートチューブの取付け部分も特殊形状になるため、通常の円柱ポストには交換できません。
Toughroad SLR 2 のシートポストは、販売価格をおさえるためにアルミ素材ですが、振動吸収の機能を十分発揮します。
シートポストの前部分にはミリ単位の数値がプリントされているため、細かい調整がしやすい。
D-FUSE 2018年モデルの変更点は、サドルの角度調整機能の追加です。
従来モデルでは、ボルト一本で締め付けと角度調整を行なっていましたが、新型では角度調整専用の調整ネジが追加されました。さらに調整角度は無段階です。従来品では角度調整が無段階ではなかったため、フィッティングにわずかな妥協が必要でした。厳密なフィッティングを求めるユーザーには嬉しい改善です。
さて、次回は〔2018 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》〕になります。
タフロード長期レビュー
スポーツ自転車は、買ったあとも意外と手を加えることがあります。基本は、細かく身体に合わせたり(フィッティング)。さらに、自分の求める走り方に部品を交換したり、より軽快に走行できるよう軽量化したりと、乗り手に好みに合わせたアップデートができます。タフロードは軽量化すればクロスバイクのように高速に走れ、グリップの良い太いタイヤをはかせれば悪路も走れ、荷物を積載すればロングツーリングも可能です。また、ドライブトレイン(変速機・ギア)を変更すれば脚力と走行フィールドに最適化した走行も可能です。
そのような多彩な方向性に対応できることを Toughroad で実施して『GIANT Toughroad 長期レポート』として長期レビューします。
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