【新型 2018】N-VAN《特長・試乗評価》

【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・試乗レビュー》
ホンダの新しい軽自動車『N-VAN(エヌバン)』は、より多くの荷物を安全に効率よく運ぶために開発された軽乗用車の運搬車。

一般的に言えば『商用車』のジャンルに入りますが、そこは超売れ筋の N-BOX を開発した HONDA。アイデア満載の N-VAN には『仕事用』と『遊び用』と、それぞれのユーザーへ向けた2タイプの N-VAN を用意しています。

N-VAN のコンセプトとなったクルマは2種類あって、一つ目は軽商用バンの『アクティ』、二つ目は軽乗用ワンボックスの『バモス』です。この二つのクルマを整理統合して N-VAN
を開発しました。

N-VAN は N-BOX をベースに開発されているため、基本的な構造は同等になります。

ちなみに、この記事を書いている時点では両車両とも現行モデルなのですが、N-VAN が発売される夏前には生産完了するでしょう。

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N-VAN エクステリア

【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》

軽商用車でも高い安全性

N-VAN のエクステリア(外観)は、軽商用バンをよく知っているユーザーであれば気付くポイントがあります。それはクルマの前の部分、専門用語では『ノーズ』や『ボンネット』と呼ばれている部分があるのですが、ここが他社の商用車と比べても長いことです。
【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》

通常の軽商用バンは、荷物をたくさん載せれるよう室内空間(積載容量)を最大限に大きくする設計で開発されています。そのため、軽乗用車のように前席の前(ボンネットの中)にエンジンを載せるスペースがないため、前席の下にエンジンを配置しています。
前席の下にエンジンを配置する設計は、多くの荷物を運搬することを可能にしますが、衝突したばあい衝撃を吸収する部品がボンネットにほとんどないため、ドライバーへの安全性確保は高くありません。

しかし、近年のクルマ造りには、より高い安全性が求められている時代です。ホンダは、この課題に対して軽商用バン・軽ワンボックスにも、高い安全性を実現するためにボンネット内にエンジンを搭載する設計にしました。
【車体仕様】ハイルーフ[ホンダ N-VAN]【車体仕様】ハイルーフ[ホンダ N-VAN]【車体仕様】ロールーフ[ホンダ N-VAN]

軽バン初のセンターピラーレス

【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》
N-VAN は荷物を効率よく運ぶことメインテーマに開発されたクルマです。クルマで荷物を運ぶためには荷物の積み降ろし作業があります。
通常の軽商用車はバックドアからの積み降ろしがメインですが、駐車スペースや周辺状況によっては必ずしもバックドアから積み降ろしができるとは限りません。この課題にたいしてホンダは『センターピラーレス』で対応しています。また重い荷物などの積み降ろしサポートが側面からも出来るため、効率よく安全に作業が出来るようになります。

N-VAN インテリア

【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》

助手席フルフラット積載機能

【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》
乗車する人の安全性を優先した N-VAN は、さきほど解説したとおりエンジンを前に配置したため室内空間(積載容量)が通常の軽ワンボックスより少なくなります。この課題をクリアするため N-VAN では、助手席もフルフラットにして荷物の積載ができるダイブダウン収納機能を装備しています。

荷物の長さや積載量、または乗車人数によって多彩なシートアレンジとレイアウトが可能になっています。たとえば、リアシートは左右分割で折りたたみが可能なので、左側座席をフルフラット化して長物積んだ状態で右側の前後座席に2人乗りもできます。

低床スクエアパッケージ

また、積載量を増やすためフロアを低くする『低床設計』を導入。これによって室内の高さをかせいで積載量を増やしています。ハイルーフモデルを選択すれば荷物を最大限に積むことが可能になります。
【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》

積載量で選べる二つのボディ

N-VAN は『アクティ』と『バモス』を整理統合したクルマ。そのため、積載運搬をメインにした業務用モデルはハイルーフ、趣味的な使い方をする乗用モデルは背が低いノーマルルーフと、二つのボディを用意しています。
背が低いノーマルルーフモデルは重心が低くなるため、コーナーリングの安定性が高くなります。積載量を検討してユーザーがボディを選択して購入できるようになっています。

N-VAN エンジン・変速機

【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》
N-VAN のエンジンは、N-BOX に搭載されている S07B 型 を採用。自然過給と強制過給機(ターボタービン)付きエンジンの2種類から選択できます。

自然過給エンジン
自然過給(NA)エンジンには、可変バルブタイミング・リフト機構『VTEC』を搭載。ホンダ軽自動車として初めての採用になります。変速機は、CVT か MT が選択できます。さらに MT 仕様には〈6速ミッション〉を採用。
MT(手動変速)は、フロアシフトではなくインパネシフトになります。

エンジン
直列 3気筒 660cc
最高出力
58 ps / 7300 rpm
最大トルク
6.6 kgm / 4800 rpm
変速機
CVT / 6速MT

ターボエンジン
【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》
低回転からトルクフルな走りが可能なターボチャージャーエンジンの変速機は CVT のみです。このパワーユニットには、軽自動車で初めて電動ウェイストゲートを採用した最新型のターボエンジンになります。

エンジン
直列 3気筒 660cc(ターボチャージャー)
最高出力
64 ps / 6000 rpm
最大トルク
10.6 kgm / 2600 rpm
変速機
CVT

N-VAN には商用バンとしては珍しい CVT が採用されています。耐久性が懸念されるため他社では搭載を見送っていましたが、NA と ターボモデルの両方で搭載しています。これで「軽商用バン = 燃費悪い」が解消されるでしょう。

N-VAN グレード

N-VAN は、3グレートから選択できます。全車とも4ナンバー登録車両のみで、最大乗員数は4人。駆動方式は全グレードとも FF と 4WD が選択可能。

【G・L】商用廉価グレード
  • ルーフ:ハイルーフ
  • エンジン:NA
  • 変速機:CVT / 6 MT
  • カラー:ホワイト、シルバー
【+STYLE FUN】ハイルーフ
  • ルーフ:ハイルーフ
  • エンジン:NA / ターボ
  • 変速機:NA(CVT / 6 MT)ターボ(CVT)
  • カラー:6色+専用色から選択可
【+STYLE COOL】ロールーフ
  • ルーフ:ロールーフ
  • エンジン:NA / ターボ
  • 変速機:NA(CVT / 6 MT)ターボ(CVT)
  • カラー:6色+専用色から選択可

ボディカラー

G・L グレード
【G・L】ボディカラー[ホンダ N-VAN]

+STYLE FUN グレード
【+STYLE FUN】ボディカラー[ホンダ N-VAN]

+STYLE COOL グレード
【+STYLE COOL】ボディカラー[ホンダ N-VAN]

  • タフタホワイトⅡ
  • ルナシルバーメタリック
  • プレミアムホワイトパールⅡ
  • シャイニンググレーメタリック
  • プレミアムピンクパール
  • クリスタルブラックパール
  • プレミアムピンクパール
  • ブリリアントスポーティブルーメタリック
  • ガーデングリーンメタリック
  • プレミアムイエローパール (+style FUN 専用色)
  • プレミアムベルベットパープルパール(+style COOL専用色)

N-VAN 運転支援システム

N-VANには、2017年に発売した N-BOX にも採用された先進安全技術『ホンダセンシング』が全車標準搭載となります。

どのようなサポート技術かといえば、

  • CMBS:前方への衝突軽減ブレーキ
  • 誤発進抑制機能:ペダルの踏み間違い防止(後進対応)
  • 歩行者事故低減ステアリング:歩行者への接近を防止
  • 路外逸脱抑制機能:道路・車線はみ出しを修正
  • ACC:適切な車間をたもつクルーズコントロール
  • LKAS:ふらつき防止の車線維持支援
  • 先行車発進通知:前の車の進行をお知らせ
  • 標識認識機能:道路標識をメーター内に表示

このように、カメラとレーダーからの情報によってブレーキやステアリングを制御したりドライバーに通知することで、快適な運転や事故回避を支援するシステムです。

また、購入価格が優先されることがある商用バンということで、装備レスのオプションも選択可能(10万円ほど安価になる)になっています。

N-VAN 発売日・価格

【新モデル】ホンダ N-VAN《スペック・価格・発売日》
発売時期は、公式ウェブサイトでは夏頃としていますが、上がってくる情報を整理すると、2018年7月頃に発売されるようです。ただし、7月頃に契約しても納車が年内に間に合うかハッキリしないそうです。まとまった台数を購入してくれる法人を優先するのかもしれないですね。

販売価格は、廉価グレードで120万円あたりから、上級ターボモデルで170万程度。商用バンといえども N-BOX との価格差はそんなに大きくありません。

発表・発売日
2018年7月12日発表、13日発売(長期納車待ち確実)

販売価格

N-VAN の車両販売価格は、CVT・6MT共同じ価格設定。4WD 駆動車はそれぞれ13万円高です。

商用モデル

Gグレード
1,267,920円
Lグレード
1,341,360円

Fan・Coole モデル

NA(CVT・6MT)
1,560,600円
ターボ(CVT)
1,668,600円

装備差 早わかり表

※画像はクリックで拡大できます。
グレード別 主要装備[2018年 N-VAN(エヌバン)]

装備・諸元・仕様

※画像はクリックで拡大できます。

主要装備表

主要装備表[2018年 N-VAN(エヌバン)]

主要諸元表

主要諸元表[2018年 N-VAN(エヌバン)]

環境仕様書

環境仕様書[2018年 N-VAN(エヌバン)]

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【試乗レビュー】N-VAN 評価

新しいアイデアがたくさん採用した商用・アクティブバン『N-VAN(エヌバン)』が、2018年7月12日発表、13日発売されました。

軽商用車バンといえば、前席下部にエンジンを搭載することで室内長を増やして、より多くの荷物を積載可能としたクルマ。
N-VAN は、ファミリー向けボックス型の軽乗用車『N-BOX』をベースに開発したことで、抑えた開発コストを新しいアイデアのために投資して、新発想の軽商用バンを開発しました。
N-VAN の登場は、いままで一般のユーザーが興味を持たなかった商用車のカテゴリーに新しい選択肢をもたらします。

今回試乗できたのは、N-VAN の最上級グレードとなる『+STYLE FUN・ターボ』。このグレードになると、商用車両というより趣味専用車といったかんじ。
外観は特徴的なハイルーフと、商用車では搭載の類を見ない LED ライト(ヘッドライト / フォグライト)を装備します。ボディカラーはグレード専用の鮮やかなプレミアムイエローです。

試乗日は酷暑だったため、試乗車はエアコン全開。背の高い男性営業マンも同乗されるため走行負荷は十分です。

内装(シート・インパネなど)

エンジンをスタートしてからフルオートエアコンをON。この全自動空調機器は全タイプの N-VAN に標準装備。とうぜん猛暑でもクーラーの効きは良好。

運転席のシートの位置を調整しますが、シートは厚み、形状、乗り心地とも考慮した設計になっているようで、私(身長:166 cm・体重:56 kg)が数百キロ走行するのは問題なさそう。
ただし運転席以外のシートは、折りたたみとフルフラット優先の設計になっているのでシート厚は薄く、とくにリアシートは煎餅(せんべい)のような薄さ。同乗者も、このスリムシートで数十キロも座ってれば疲れるでしょう。運転席以外はあくまでもチョイ乗り仕様の設計です。

運転席に座り、速度などの情報を示してくれるメーターナセルは、速度計はもちろん商用車ですがエンジン回転数を表示するタコメータが装備される。その他にも Honda SENSING 情報を表示する『マルチインフォメーション・ディスプレイ』が装備され、燃費、航続距離、標識認識表示のほか車両状況情報も教えてくれます。

こういった最新の安全運転支援システムが N-BOX と変わりないところも N-VAN はポイントが高いです。

補足リンク〔N-VAN の Honda SENSING 機能解説

走行・加速

クーラーの効きをふくめてエンジン・水温ともにアイドリングも十分済んだところで試乗にむけて発進です。

アクセルをジワリと踏むとクリープ走行からスムーズに加速。商用バンに多く採用されるトルコン 4AT と違って低回転から効率のいい加速を始めます。ターボ過給が常用域に届いていなくてもスルスルと加速していきます。
交通量の少ないローカルな道へ向かうために、丘から急カーブをふくめた下り道を降りていく。降り勾配がそこそこ高いと、オートマチックのセレクタ『D』ではエンジンブレーキは少ないためブレーキをかける。
ディスクブレーキの制動フィーリングはキャリパーパッドのディスクロータへのタッチ感がわかりやすい。荷物をたくさん載せる貨物バンとしても扱いやすく制動もシッカリしています。

ローカルな平坦なルートでアクセルを踏み込んでいくと、エンジン回転数が2,000回転あたりからトルクが太くなって明確な加速が始まる。車重が1トンほどあるため「軽快!」と言えるほどの加速ではありませんが、自然過給エンジンと違ってパワーに余裕のある頼もしい走りです。さらに、そのままアクセルを入れていけば、N-VAN 専用にマッチングされた CVT のギアリングによって高速道路でも十分な走りができるでしょう。

やはり、重量の重いボックス系の軽乗用車には、低速域からパワーの出るターボエンジンと、駆動効率がいい CVT の組み合わせは良いですね!

ハンドリング

N-VAN のハンドルのパワーアシストは電動パワーステアリングです。低速域のステアリング・フィーリングは軽すぎることもなく、ハンドルを真っ直ぐにした状態での遊びが予想外に少ない。また、速度が少し上がると操舵感は重くなりますが、そのフィーリングは商用バンとは思えない質感で信頼ができるものです。

おかげでタイトコーナーでのハンドル操作もしやすく、カーブが連続するルートも苦痛はありません。

乗り心地・足回り

おおくの商用バンは荷物の積載を前提に開発しているためか「乗り心地は二の次だよ」というサスペンションの設定が定番。

N-VAN も商用バンとして開発されているので、試乗では乗り心地が気になる項目の一つでした。そのため試乗では、ローカル道で多く点在する凸凹ポイントを積極的に通過してみた。
その結果わかったことは、フロントサスペンションに絶妙な足回り設定がされているようで、ちょっとした道路のくぼみではサスユニットが衝撃をうまく緩和しているのが確認できました。
リアサスペンションは荷物を積載する前提であるため、負荷に対応した設定と思われますが、凸凹を通過しても、あるていどの硬さは感じますが突き上げている感はありませんでした。

この設定を営業マンに確認したところ、足回りの設定は先代 N-BOX に近いらしく、乗り心地・振動吸収性の良さに納得いく理由でした。

試乗車の N-VAN は天井の高いハイルーフ仕様。天井が高いと重心も上に寄るため、コーナーでのロール具合が気になっていました。
そのあたりを確認するためにタイトコーナーを幾つもクリアしましたが、適切なスピードと、こじらないハンドル操作を心がければ、車体が大きくバランスを崩すことはありませんでした。
上りのタイトコーナーでは、ブレーキング、ハンドル操作、アクセルオンをスムーズに実行すれば、ターボエンジンのパワーもプラスされてストレスなく登坂コーナーをクリアしていきます。

遮蔽性

個人的には「商用バン=うるさい」という先入観があり、カーステレオで良好な音楽再生を期待していませんでしたが、嬉しいことに N-VAN は例外でした。

さすがに最新型の N-BOX をベースに開発したクルマだけあって、エンジン音、タイヤノイズ、すれ違う対向車からの雑音進入をうまく遮っています。エンジン音にかんしては、通常の商用バンと違ってエンジンを前席下に搭載していない理由もあるでしょう。

まさか業務用のクルマでカーオーディオを楽しめる時代が来るとは思っていませんでした。これは嬉しい誤算です。

ただし、今回の試乗車は『趣味に使える』をコンセプトに設定された『+STYLE FUN』であるため、遮蔽性の高い防音材が多く使われている可能性があります。

運転のしやすさ

N-BOX などの軽乗用車に乗ったことのあるドライバーはご存知でしょうが、ボックス型のクルマは垂直のピラーが多くウィンドウの面積が広いため、死角が少なく非常に運転しやすい特長があります。また座席視点も高いため安全確認もしやすいです。

また、N-VAN はエンジンをフロントノーズ内に搭載していますが、ボンネットの全長は短く、従来の商用バンと取り回しが変わらず乗り換えでも違和感はほとんどないでしょう。

まとめ:

N-VAN(エヌバン)は他社の商用バンより販売価格が高くなっていますが、このジャンルのクルマでは実現しなかった機能がたくさん詰まった高性能・高品質な商用バンです。また、ドライバーの安全運転サポートとの機能を全グレードに標準装備するなど、先手のクルマ造りに努めており、その分の価格上昇は納得できるアイデア満載の軽乗用車です。

個人的に欲しいのが、ロールーフの『+STYLE COOL』のターボモデル。自転車とキャンプセットを積み込んで遊びに出かけたいです!

【新型2017】N-BOX G・EX 試乗レビュー



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