シクロクロスじゃなくグラベルロードを選ぶ理由【その2】

前回、【その1】からの続きです。

【その2】では、前回で指摘した条件をクリアしてくれる『グラベルロード』を、分かる範囲でピックアップしてみました。

また、グラベルロードバイクを集めた別記事『グラベルロードバイク《スペック早見版》』にてアップいたしました。よろしかったらあわせてご覧下さい。

前回は、シクロクロスバイクのジオメトリが、競技前提の設計である為、日常的な使い方に不便なことがあるというもの。
一番の問題が、サドルから腰を下ろしてトップチューブを跨ぐと、股間がトップチューブと接触する問題。二番目が、ホイールベースが1000ミリより短い設計の場合、前輪とつま先が当たる可能性がある事でした。

大陸横断型とは違う軽量さ

そういった悩みを簡単に解消するには、太めの700Cタイヤが装着できる長距離サイクリングに適した『スポルティーフ』や『ランドナー』を選択する手もあるのですが、このタイプの自転車は、装備したキャリアバッグに宿泊用品を搭載して、泊まりがけのサイクリングへ出掛けることを前提とした重装備仕様です。
よって、フレームやフォーク、ホイール等の耐久性を高めた設計であるため、総重量を軽く収める事ができず、ヒラリとした軽快性を失ってしまいます。
この2種類は、私の使用目的からみると、ベクトルが違う方向に進んでいる自転車です。

そういった理由で、以前は「これだっ！」というバイクが見付からず、新規導入計画が止まったままで時間だけが過ぎました。もう、購入欲の”炎“が消えかけてようとした頃、ダートロードを含む悪路を高速で走破できる『グラベルロード』が市場投入されて行く事になります。

希望条件に合ったグラベルロード

そして、前回のテーマに上げていた『当たる症状』をクリアするグラベルレーサーが、徐々に登場してきました。トップチューブ高に関しては、通常のロードバイクに近い設計を採用しているので、チューブと股間の余裕は増えいています。ただ、ホイールベースがシクロクロス系ジオメトリに近い、短いタイプの存在があるので要注意です。

トップチューブの高さは、シートチューブの長さをチェックすると、ある程度参考になります。
シートチューブ長は、クランクの中心であるBBセンターから、シートチューブのトップまで測ったものを表示する場合が多いので、モデルによってはトップチューブの高さが低くなる場合があります。

以下のグラベルロードが『当たる症状』をほぼクリアするジオメトリだと考えています。

【補足】TT=トップチューブ長（ホリゾンタル）、ST=シートチューブ長、WB＝ホイールベース長。

SALSA / WARBIRD

SALSAのグラベルレーサー専用に設計された『WARBIRD』。

フレーム素材は、チタニウムとアルミ。フォークは『ENVE CX Carbon』を装備。アルミ系のフレームモデルも、振動吸収にすぐれるチューブ選択とフレーム設計がなされています。また、ディスクブレーキ専用フレームで、140ミリから160ミリまでのディスクローターに対応。ロングツアラーらしく、ボトルマウントを3つ用意してあります。

ホイールベースは、全てのサイズで約1020ミリ以上。シートチューブが若干長いが、トップチューブの高さはシクロクロスモデルより抑えスローピング化されています。

一般のロードバイクと違和感ないフレーム形状が、ダートロードでの高速巡航を可能にしています。グラベルレーサーの名にふさわしいモデル。

Size	51cm	53cm	55cm
TT	515mm	535mm	550mm
ST	495.0mm	535.0mm	560.0mm
WB	1020.0mm	1019.5mm	1025.2mm

KONA / ROVE Ti

KONAであれば『ROVE TI』。
フレームは、なめらかな乗り心地のチタニウム。アメリカのリンスキーパフォーマンスデザイン社とKONAとの共同開発で、全てがハンドメイドなのが所有欲を誘います。

KONAのチタンフレームの場合、シートチューブ（490ミリ）に対して、トップチューブが若干長め（ホリゾンタル：535ミリ）の設計です。ユーザーの身長や、手足の長さにもよりますが、短めなステムでフィッティングが良好になるユーザーも居るでしょう。

Size	49cm	53cm	– cm
TT	535mm	550mm	– mm
ST	490mm	530mm	– mm
WB	1025mm	1031mm	– mm

KONA / ROVE AL

同じくKONAのROVEなのですが、アルミフレームモデルになると『サイズ：47cm』が選択できるので、より小柄なユーザーでもフィッティングが出せる事でしょう。また、選べるサイズは4つに増えています。

同じシリーズでも、ジオメトリはチタンモデルとは異なる設計で、全てのサイズでトップチューブ高は、よりスローピング化され低く抑えてあります。
ホイールベースは、最小サイズの47cmでも1024mmとグラベルロードらしい長さです。シートチューブ長はBBセンター（クランクの中心）からトップチューブの中心までの数値です。

Size	47cm	49cm	53cm
TT	520mm	535mm	550mm
ST	470mm	490mm	540mm
WB	1024mm	1030mm	1031mm

また、同シリーズのクロモリフレーム『ROVE』は、アルミやチタンモデルよりもホイールベースが若干短めですが、最小サイズの47cmでも1018mmと十分な長さがあるので、クロモリチューブに興味のあるユーザーは選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

GT / GRADE

アメリカ自転車ブランドの大手『GT』が投入するグラベルロードバイクが『GRADE（グレイド）』。

上級グレードを選択すれば、専用に設計された軽量カーボンフレームが用意され、納車状態でグラベルレースに即投入できるハイスペックな注目モデル。
フラットなシングルトラックの走破も可能な強度と、しなやかさを持つフレーム。太めなタイヤに対応するフレームは、35Cブロックタイヤが装着可能なので、幅広い路面状況に対応できます。

トップグレードの『GRADE CARBON ULTEGRA』を選択すると、ワイドレンジに設定されたアルテグラに、160mm IceTech センターロックローターの油圧ディスクブレーキシステム。フロントアクスルは15mm スルーアクスル搭載と、欠点が見当たらないパーツ構成です。

Size	51（XS）	53（S）	55（M）
TT	515mm	535mm	550mm
ST	495mm	535mm	550mm
WB	1017mm	1019mm	1025mm

Niner / RLT 9

29erマウンテンバイクが、まだマイナーだった頃から積極的にラインナップを揃えていた『niner（ナイナー）』からグラベルロードが登場。

シクロクロスモデルも、早くからディスクブレーキに対応していたものの、ホイールベースの短さから、残念ながら選択肢から外していたブランドでしたが、グラベルロードではホイールベースを伸ばしてきました。フレーム素材はアルミオンリー。

チェーンステイを長目に設計しているので、太めのタイヤを装着してもタイヤクリアランスが確保されており、雨泥よけフェンダーの装着も可能になっています。

若干気になるのが、旋回性を上げるためか、ホイールベースが他社に比べ僅かに短め。しかし、このジオメトリで問題がなければ、グラベルレースからシクロクロスレース、ロングツーリングまで幅広く楽しめそうです。

【補足】シートチューブ長は、BBセンターからシートチューブのトップエンド（天辺）までなので、トップチューブはスローピングした状態です。

Size	47cm	50cm	53cm
TT	510mm	525mm	545mm
ST	470mm	500mm	530mm
WB	1008mm	1015mm	1025mm

GIANT / ANYROAD COMAX

GIANTのグラベルロード系バイクは『REVOLT』と『ANYROAD』の2種類が用意されています。シクロクロスから乗り換えても違和感が少ないライディングポジションと、幅広いギア比を駆使してダートロードを高速巡航させるパーツ構成を見ると『ANYROAD』がグラベルロードとしてマッチしているかもしれません。

ロードバイクらしくないフレームシルエットが好き嫌いを分けそうですが、こちらのフレームは、カーボン原糸と繊維強化ポリマーを適切にブレンドすることで新開発した『CoMax』カーボンフレーム。
GIANTの新モノコック工法によって、継ぎ目のない1つのピースとしてフレームを成形。乗り心地や強度、剛性を損なうことなく軽量化を実現しています。
このバイクなら、グラベルグラインダー競技からロングツーリングまで快適なライディングの恩恵を受ける事でしょう。

また、MTBシルエットのような低いトップチューブのおかげで、155センチ以上の身長があれば、股下の余裕を心配する必要はなさそうです。

カーボンフレームを採用したトップグレードのCOMAXでも、完成車価格はとてもリーズナブル。シルエットやデザインが気に入れば、お買得な一台です。

Size	435(XS)	460(S)	500(M)
TT	515mm	525mm	540mm
ST	435mm	460mm	500mm
WB	1014.6mm	1015.7mm	1016.0mm

RITCHEY / SWISS CROSS Disk

RITCHEY（リッチー）伝統のシクロクロスバイクですが、意外やホイールベースが長い事が判明。また、シートチューブもシクロクロスレーサーモデルとしては低く抑えてあるため、今回の仲間入りです。

SWISS CROSSは、リッチーラインナップの歴史に残る銘バイク。
永く玄人ユーザーに支持されているリッチーチューブは、最新のトリプルバテット『リッチーロジック』クロモリフレームに、ディスクブレーキマウントを装備。過酷な環境下でも、高い制動力をあらゆるシーンで発揮させます。

アルミ系のグラベルロードフレームは、振動吸収性をアップさせた設計が多いのですが、アルミ以上にシナリや衝撃吸収性に富んだリッチーチューブの乗り心地が、非常に興味深いです。

シクロクロス専用のモデルでありながらも、ホイールベースがフレームサイズSとMで約1020ミリとの情報（輸入代理店）なので、詳細な数値がキャッチでき次第、情報を更新致します。

Size	460(XS)	475(S)	495(M)
TT	515mm	527mm	540mm
ST	460mm	475mm	495mm
WB	約1020mm	約1020mm	– N/A –

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