スズキの軽自動車『Lapin(ラパン)』は、可愛らしさとインテリア家具のような内装質感によって女性に高い評価を受けながら生産がつづき、現在のモデルで3代目です。
女性をメインターゲットに開発されたコンセプトは『ゆるさ』でしたが、現行モデルでは、より熟成されて『心地よいゆるさ』へと進化させています。
ラパンの特徴
ラパン(3代目・2015年発売〜)は、対象ユーザーとデザイン方向性は2代目から引き継ぎながらも、可愛さだけでなく大人の女性があつかうモノとしてのシンプルで質感の高いイメージを打ち出しています。
外観(スタイリング)
ベースは箱形ボディでありながらもボディーの角や装備品に積極的に丸みをもたせ『ゆるやかさ』をアピール。
ヘッドライトは2代目の角丸四角形から丸形へ変更。人気の高かった2代目の特別仕様『ラパン ショコラ』の丸形ヘッドライトが活かされています。
ライトから挟まれたグリルはスチールをイメージした広めなプレートで、センターにはラパンのイメージマークの『うさぎ』を目立たせています。その他のグリル部分は、スペースの大きく細めの格子状でモダンなデザインでオリジナリティが高い。下ラジエターグリルが控えめなブラックにすることで、ライトとグリルデザインの邪魔をしていないところも良いですね。
ちなみにボンネットの形状がフロントウィンドウ付近で角丸になっており、ボンネットがおもちゃ箱のフタのようで可愛い。
テールライトの形状は前ライトとデザインを合わせた丸形のコンビネーションライト。バックライトがトランク開口部の一部になっています。ハイマウントストップライトとともにLEDランプを採用。
パンバー、ホイールアーチカバー、サイドスカートはペイント無しの樹脂製ですが、ボディカラーとのメリハリが利いていてシンプルな演出です。
ドアミラーはターンライト(方向指示灯)内蔵型の楕円球形状。ツートンカラーペイント(4色を用意)を選ぶとドアミラーはホワイトカラーになります。
タイヤは全グレードとも[155/65R14 ラジアルタイヤ]。ホイールはXグレードのみアルミホイール。タイヤの太さ大きさともに、エンジンパワーと車格、この車に乗るユーザーの方向性にマッチしています。
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内装(インテリア)
インパネ
車内内装のデザインはオシャレな調度品をならべたように配置され、運転席と助手席の前には、テーブル、フォトフレーム、置き時計を置いたような雰囲気。
エアコン噴出し口の下のパネルはカウンターをイメージしており『X・S』グレードでは白木目調、『L・G』グレードではファブリック調のカラーパネルを採用。
メーター周り
参考写真では、ドリンクホルダーが見えないのですが、助手席側は引き出しタイプの[インパネドリンクホルダー]で、運転席側には500mlの紙パックに対応する四角い縦穴が用意されています。
オーディオ
真ん中の『iPad』みたいなのはメーカオプションの[全方位モニター付メモリーナビゲーション]です。
こちらのオプションはナビゲーション以外に、フルセグTV・DVD/CDプレーヤー・AM/FMラジオが一体型になっています。その他にもBluetooth、外部端子(USB、AUX)に対応するため、iPhoneやスマホ、またはPCオーティオの音楽データが再生できます。また、標準装備になるラジオ付きCDプレーヤやオーディオレスの選択も可能です。
スピーカーはオーディオレスを選んでも6スピーカー(フロント2、リヤ2、ツイーター2)が装備されます。
また、このオプションを注文装備することで、スマートフォンやiPhoneなどのBluetooth機能を利用してハンズフリーで通話可能。セットで装備されるステアリングのスイッチで電話に出たり、音声のボリュームを調整することも可能になります。
そのほか『Apple CarPlay』『Android Auto』に対応して通話・音楽再生・メッセージなど、スマートフォンの様々な機能をナビ画面で操作できます。また、音声認識機能を使って操作することも可能です。
シート
シートはベンチシートタイプで全グレード形状は同じ。前席は上半身をかるくサポートできるようにシート両端がすこしだけ支えられるようになっています。また、折りたたみ式のセンターアームレスト(肘掛け)が付属。
後席はベンチシートで座面形状はフラットに近い。可倒式リヤシートは左右分割で折りたたみが可能です。
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収納装備・積載
収納スペースは軽自動車ならではの細かいアイデアが満載。インパネを引き出しに見立てた、ボックス(ティッシュ入れ)やドリンクホルダーはユニーク。
後席を折り畳んだばあい、座面は完全に水平にはならず後方に斜めになるため、箱ものを積み重ねるばあいは工夫が必要。また座席がスライドしないため、前席とのあいだに大きな隙間ができ小物を載せるばあいも工夫しなければなりません。
快適装備
エアコン
エアコンは[Xグレード]のみ『ナノイー』技術を採用したフルートエアコンが装備されます。ナノイーはPanasonic(パナソニック)が開発したもので車用の空気清浄機です。その能力は、菌・ウィルスの抑制、脱臭、あと肌や紙にやさしい弱酸性の風を送りだすことができます。
それ以外のグレードには、マニュアルエアコン(抗菌処理タイプ/エアフィルター付)が採用されます。
またアイドリングストップ中でも専用蓄冷材を利用した『エコクール』によって室内気温の上昇を抑えることができます。夏場のアイドリングストップには、この機能が非常に有効です。(Gグレードをのぞく)
シートヒーター
4WDモデルを選択すると、運転席シートヒーター(X、S、L、Gグレード)に装備。また、助手席シートヒーターは(X、S、Lグレード)に装備。後部座席の足下を温めるリヤヒーターダクトは4WD車すべてに装備されます。
日焼け対策
肌へダメージをあたえる紫外線(UV)約99%カット&赤外線(IR)カットを実現した、プレミアムUV&IRカットガラスをフロントドアガラスに採用。これらを全グレードに標準装備しています。
安全装備
全方位モニター
《X、S、Lにメーカーオプション:メモリーナビゲーション装着車にセット装備》
全方位モニターは、運転席から見えにくい場所を映し出してくれる便利な機能。ドライバーの死角になる部分をモニター表示させることによって、自宅の車庫入れから出先の駐車場まで、車の周囲を上空から見たように映し出して駐車をスムーズにします。
また、駐車場出口や脇道から道路に出るときなど、左右方向の車道だけでなく歩道を確認することができるため、高い頻度で運転のサポートになります。
ちなみにモニターに映る映像は専用ボタンを押すことで、3つの視点から選択できます。
レーダーブレーキサポート
低速走行中(約5km/h~約30km/h)に前方の車および障害物との衝突を回避します。フロントウィンドウの上部に装備されたレーザーレーダーによって、前方車両との距離を測定。衝突の危険性が高まると自動ブレーキを作動させます。また、自動ブレーキ作動と同時にメーター内の表示灯とブザーでドライバーに危険を知らせます。
のろのろ渋滞中の脇見の追突防止に作動して衝突を回避してくれるかもしれませんが、フロントガラスの汚れや天候条件によって作動しない場合もあるため、あくまで保険です。
誤発進抑制機能
レーダーブレーキサポートのレーダーを利用して、停車または〈約10km/h〉以下での徐行中、前方の障害物を検知した状態でアクセルを強く踏み込むと、エンジン出力を自動制御して急発進・急加速を抑制。近年よくある駐車場などでの急発進による衝突を回避します。ただし、この機能にはブレーキをかけて車両を停止させる機能はありません。
エマージェンシーストップシグナル
これは車速が〈約55キロメートル〉以上で走行中に急ブレーキをしたばあい、ハザードランプが自動で高速点滅して後続車に急ブレーキを知らせるもの。近年の新車に多く装備されています。
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動力関連
エネチャージ
スズキが独自に開発した減速時のエネルギーとエンジンパワーを発電と充電にまわして、発進・走行時にその電気を利用するシステムなので、モーターで駆動できるハイブリッドとは違います。
この機能は、エネチャージ用バッテリーによって、発進・走行時の発電を最小限(低負荷)にすることで、ガソリン消費を抑えることができます。
エンジン・駆動系
排気量は軽自動車規格いっぱいの約660ccで[R06A型]というスズキが近年メインに採用する。このエンジンは軽スポーツハッチバックの『Alto Works(アルト ワークス)』にも採用される優れたエンジンです。
このエンジンとCVT(無段階変速機)との相性はよく、常時エアコンを利用した状態でも十分な走行をしてくれます。昔の軽自動車とくらべて、エンジンパワーよりトルク(重いものを引っ張る力)重視のエンジン・変速機の開発設定しているのも大きいでしょう。
ちなみに、スズキの軽自動車の変速機には[5 AGS(オートギアシフト)]セミオートマ変速機構を搭載した[Gグレード]があります。この変速機は、クラッチを踏まずに手動変速ができるユニークがもので、エンジン回転に対して駆動力がダイレクトにタイヤに伝わるためパワーロスが少ない新技術な変速機です。
手動で変速したくない場合は『オート変速』の選択もできるため、5ATのオートマチックのように扱うこともできます。
駆動方式は前輪2WDと4WDが全グレードで選択可能なので、積雪地帯のユーザーにはありがたいですね。
燃費・その他
スズキの軽自動車は重量が軽いため、そのぶん燃費が良くてユーザーには好評。
多数の装備を盛った上級グレード[X]でも車両重量〈680 kg〉の軽量ぶりです。これによってメーカー公表燃費はリッターあたり〈35.6 km/L〉です。2代目ラパンの燃費が〈26 km/L〉だったので技術進歩が凄いですね。(燃費はいずれも2WD・CVT)
実際の実走燃費は〈20 km/L〉を超えるユーザーも多数いますから、車重の軽量化とエネチャージの効果も大きいようです。さらに、郊外をよく走行するユーザーは、アクセル操作と車全体のコントロールを上手くすれば、まだ燃費は伸びそうです。
まとめ
初代デビューから15年以上たっても、なお女性ユーザーから高い支持をうけるシンプルでキュートな『ラパン』。3代目では、質感の向上だけでなく静粛性・乗り心地にみがきをかけ、さらには最新技術を投入して、使い勝手・安全性・燃費の良さを追求しています。
見た目で買っても質感・性能が良い『ラパン』はオススメです。
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