『シクロクロス』は、見た目がロードバイクそのものなので、なにが違うのか分からない人も多いでしょう。ロードレーサーがオンロード専用なら、シクロクロスはオフロード専用のバイクです。ただ、オフロードといってもMTBが走行するような岩場は除きます。
走行に適しているのは、フラットなシングルトラック(獣道)や舗装されていないフィールドなどです。ライダーにバイクを操れる技術(ライディングテクニック)があれば、舗装路以外の幅広いフィールドを走ることができるでしょう。
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シクロクロスとは
シクロクロスバイクは、冬期のロードバイク乗りのために誕生しました。
日本でもそうですが、海外でも冬シーズンに雪が降り積もってしまうと、タイヤ接地表面にノブ(ブロック)が付いていないロードバイクでは走行が困難になります。当然、ロードレーサーを使用するレースイベントはオフシーズンになります。
ここで「冬環境でも乗れる(トレーニング)できるロードバイクがあればいいよね」といった希望からシクロクロスバイクが誕生したわけです。
雪道や雪解けのフィールドをロードバイクで走行することを念頭に開発されているため、ロードバイクの基本設計を大きく変更していません。そんな理由もあって、最近ロードバイクに興味がでてきた人にチョット見分けが付かなくても仕方ありません。
構成パーツの解説
多くのシクロクロスバイクは、競技用に開発しており万人向けではありません。とくに近年開発されている上級モデルでは、極めて競技向けの設計・部品構成で組上げるため、日常的な使用では使いづらい事もあります。
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ハンドル
バイク操作のかなめにもなるハンドル。シクロクロスバイクのハンドルは通常のロードバイクと同じ『ドロップハンドル』が採用されます。
とくにシクロクロスレースでは、競技規定によってドロップハンドルでなければ上位レースに参加できません。ドロップハンドルであれば形状(アナトミック、シャロー、アナトミックシャロー )は、どれでもOKです。
フレーム
素材は、アルミニウムのほか上級グレードにはカーボン素材が採用される。またブランドのラインナップによってはチタン(Titanium)、クロモリ(Chromium Molybdenum)、スチール素材をもちいたフレームもある。
フレーム設計は、見た目は分かりにくいですがシクロクロス専用設計をほどこしてます。
まず、フレームのトップチューブは、高い位置で水平に伸びています。その高さは、サドルから腰を下ろすと股間とトップチューブが当たるのが珍しくないほど。この理由はシクロクロスの競技にあります。
シクロクロス競技では、普通のロードレーサー競技にない障害物がコース上に用意されます。それはシケインと呼ばれる高さ30センチくらいの板だったり階段だったり劇坂だったりします。シケインや階段をバイクに乗ったままクリアする事は非常に難しいため、一度自転車から降車(独特な降り方です)してバイクを肩に担いで障害物をクリアするわけです。
バイクを肩で担ぐとき、肩をすぐフレーム入れやすいようフレームの前三角を大きい設計にしています。そのような理由があって、トップチューブを出来るかぎり上にくる設計にしてます。
先程も書いたように、シクロクロスの高いトップチューブは、信号待ちなどで降車するとき股間が当たる場合があるので、日常的に利用したいユーザーはバイク選びに注意しましょう。
シクロクロスでは、近年ディスクブレーキがトレンドになっており、ディスクブレーキマウントに対応するフレームが急増しています。また、新しいブレーキシステムが過渡期であるためか、カンチブレーキとディスクブレーキの両方のマウントに対応するフレームを用意する自転車ブランドもあります。
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ブレーキ
シクロクロスのブレーキは、多くのロードバイクに搭載されているキャリパーブレーキとは異なり『カンチレバーブレーキ』が採用される。
カンチブレーキは、キャリパーブレーキと比べレバー式ブレーキです。そのため、リムサイドを挟むブレーキシュー上部が大きく空いており、雪解けのドロドロの悪路走行時でも、泥詰まりしにくい構造になっています。
ただ、握力に対して高い制動力が得られないため、一般公道や特に峠からの降りでは、ブレーキレバーを引く指が辛いことがあります。
しかし、近年では競技規格で使用許可がおりたため、ディスクブレーキの市販車への採用がすすんでいます。シクロクロス競技は、雪や雨が降って路面がドロドロの状態でも、当たり前のように開催される競技なので、新型モデルにはディスクブレーキを採用する自転車メーカーが圧倒的に多いです。
サイクリングからレースまで幅広く楽しみたいなら、ディスクブレーキ仕様をオススメします。ただ、シンプルなシクロクロスバイクが欲しいユーザーは、従来のカンチブレーキ仕様もアリですよ。
ホイール
シクロクロス用はロードレーサーのホイール規格に大きな違いはありませんが、装着するタイヤ幅に差のある[25C]などの細いタイヤを装着するばあいは、ホイールリムの内幅には気をつけなければなりません。
近年販売されているシクロクロス完成車のホイールは、ワイドタイヤ対応リムが増えて[25〜40C]幅のタイヤを装着できることが多い。ロードレース界にもワイドタイヤの波が広がりつつあることから、この方向性がスタンダードになってきている。
ホイールに対応するブレーキは、カンチブレーキとディスクブレーキの両方が多くそろう。ただ、最近のトレンドはディスクブレーキであるため、シクロクロスバイクのディスクブレーキ装着率は年々上がっています。
また近年では、より低圧で走行を可能にしたチューブレス対応のホイールが登場している。
タイヤ
タイヤの特徴として、悪路でグリップをかせぐため空気圧が低い状態でも走行可能なタイヤを用意している。ロードレーサーでは[7気圧(Bar)]を超えることが珍しくない空気圧だが、シクロクロスでは[2気圧(Bar)]あたりの設定で走ることも可能です。
また、レースではオフロードを走行するため、タイヤ接地面には『ノブ(ブロック)』が付いていることが多い。その他にも、走りの軽い『セミスリック』といったノブの低いタイヤを用意するタイヤブランドもある。
タイヤ幅は太目の[30C]以上が標準。ラインナップはレースを前提としている競技向け(現在規定では33Cまで使用可)をふくめ[30〜35C]が充実しています。ただ、競技にこだわらなければ[40C]あたりまで装着可能なフレームもあり、シクロクロスでツーリングやグラベルライドを楽しむこともできます。
また近年では、より低圧で走行を可能にしたチューブレス対応のタイヤが登場している。
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変速(ギア)
シクロクロスは、ペダリングの負荷が大きい悪路を走行するため、歯車(チェーンリングとリアスプロケット)がロードレーサーと違う特徴があります。また、最近は競技に特化した前ギアが1枚の『シングルチェーンリング』がトレンドとなっており、軽量な上級グレードに採用されています。
シングルチェーンリングが登場する前は、ロードレーサーが多く採用する[52 / 39Tか50 / 54T]より小さい[46 / 36T]のダブルチェーンリングを採用することが多かった。
シングルチェーンリングのメリットは、ダブルチェーリングの変速中に起きるチェーン脱落の問題が無いこと。とくにプロ選手にとってチェーン脱落は致命的なトラブルになるため、シングルチェーンリングを選択する事がある。
後の歯車(リアスプロケット)は、前がダブルチェーリングであれば[11-28T]を装着するのが標準。サイクリングがメインなら登坂にそなえて[11-32T]を選択してもいい。
シングルチェーンリングであれば、リアスプロケットは最大で[11-42T]と、後側でワイドなギア設定も可能。また、プロ選手やエリートライダーになると、前の歯車(フロントチェーンリング)の歯数を、走るコースによって入れ替えたりすることがあります。
変速はロードバイク特有のブレーキレバー一体型の専用シフターです。グレードや用途によってブレーキがカンチブレーキかディスクブレーキになります。
シクロクロスまとめ
シクロクロスの特徴
- フレーム
- 素材(カーボンファイバー、アルミニウム、クロモリ)
- ハンドル
- 素材(カーボンファイバー、アルミニウム)ドロップハンドルのみ。
- ホイール
- 素材(カーボンファイバー、アルミニウム)従来のリムブレーキ対応かディスクブレーキ専用ホイール。
- タイヤ
- 幅(競技規格は33C以下)接地表面はノブ付きが多い。チューブレス仕様もある。
- ブレーキ
- カンチブレーキかディスクブレーキ。
- 変速機
- フロントチェーンリングがダブルかシングル。近年リアスプロケットがワイド化。
- その他
- 競技専用モデルではトップチューブ高が高い。
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