2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》

2017 Toughroad SLR 2 評価
GIANT(ジャイアント)がリリースした軽量アドベンチャーバイク[Toughroad SLR 2]のフィッティングが完了したため、今回は実走レビューになります。なお、前回のレビュー記事は〔2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》〕でした。

[SLR 1]と[SLR 2]では、ドライブ系(ギア比)が全く違うため、走行やペダリングが異なってきます。



バイク・フィッティング

ちなみに私が購入した[2017 Toughroad SLR 2]のサイズは〈390(XS)〉。フレーム設計(ジオメトリ)は2016年モデルから大きく変更しており、メーカーが公表する適応身長は〈155〜167センチ〉と小柄なユーザーが乗れるよう設計変更された。私の身長は〈166センチ〉、これに典型的な日本人体型で腕と足の長くありません。

フレーム設計変更により、適応身長の最大値にちかい身長166センチの私が乗っても、とくに窮屈なことはありません。ちなみに、フレームのトップチューブが〈580 ミリ〉もあるため、手足が長いユーザーはシートポスト位置を上げたり、長めのステムへ交換することで対応できます。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
フィッティング済んだバイクを見てください。サドル位置は特に高くなく、足の長い人でも対応の余地はあります。私のサドル位置の高さを数値にすると、クランク(BB=ボトムブラケット)の中心からサドルの天辺までの長さは約650ミリです。
気軽サイクリングがメインなのでクリート固定する[SPD]ペダルは使用せず、通常の軽量フラットベダルとシューズには[NIKE ランニングシューズ]を履いています。
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ハンドルとステムは、ヘッドセットに接する一番低い位置にセット。標準のハンドルバーはグリップ部分が上がるライザーバーであるため、より低い位置にセットしたい場合はフラットバーへの換装するでしょう。


Toughroad SLR 2の実走

実走前の空気圧チェックはとても重要。スポーツバイクに乗るならなおさらです。空気圧の設定によってグリップから衝撃吸収にハンドリングといった『走行』フィーリングを左右します。
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2017年のToughroadには[GIANT SYCAMORE S 700x50C]が装着されています。このタイヤの推奨空気圧は〈2.1~4.2 ber〉。私は、色んな路面を走ってみてフィーリングが良かった〈約1.9 ber〉に設定。ちなみに私の体重は〈約56キロ〉です。

発進・加速

まずはターマック(舗装路)から走り出します。
スタートからの走り始めは、29er(29インチホイール)バイクらしく回転はじめは重いフィーリング。しかし、ホイールが回り始めれば「スッ!」とバイクが勝手に進みだすような素早い加速になります。
発進時のフィーリングは、26インチホイールよりも速く700cロードホイールより遅いといった感じ。

タイヤは2016年モデル[MAXXIS MAXLITE SPEED 29×2.0]のノブ(ブロック)低いセミスリックタイヤから、少しノブが高くなった自社製タイヤへ変更された。走行感に少し抵抗を多く感じる。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
またゼロスタートが重めに感じるのは、フロントチェーンリングのアウター歯数が〈44T〉という要素も含まれるでしょう。[SLR 2]の駆動系ギアは、26インチホイールMTBと同じギア比設定〈3 × 9〉になっています。ホイールが29インチと大きいため、アウターチェーンリングからの発進は負荷がかかり軽めではありません。

そのため、信号の多い混雑する市街地では、積極的にフロントチェーンリングのセンターギアを活用すれば、繰り返される『ストップ・アンド・ゴー』も苦にならないでしょう。加減速が多い市街地では、積極的に前後ギアを変速しましょう。


巡航

Toughroadシリーズのホイールは、ロードバイクより大きい29インチに、幅2インチ(50C)のタイヤを装着しています。これは、スポーツバイクのホイールタイヤとしては最大値です。

そのため、発進時は重量的負荷もありペダルも重めなのですが、動き出して時速10キロ台になると初動のモッサリ感が信じられないような加速がはじまります。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
巡航性能はロードバイクほどの高速域は、重量とギア比の要素があるため出せませんが、クロスバイク同様に優れています。また、少々の向かい風を受けたとしても、29インチホイールとタイヤの質量についた回転慣性に助けられるため影響を受けにくいです。
このホイール周り慣性のメリットは大きく、ワイドレンジなギア比を活かしてペダルにトルクを入れていくと巡行速度がドンドン上がります。これによって、いつの間にか距離を稼ぐことができるためロングツーリングでは大きな長所となるでしょう。

[Toughroad]はグラベルバイクなのですが、ターマック(舗装路)もこなせるバイクなんです。
あと、舗装路(平地)での巡航速度は〈約30 km/h〉は可能。脚力がある人は、まだ速度は上がるでしょうが、道路交通法ではダメな領域になりますが…

グラベル走行

Toughroadはグラベル(砂利道)を走行するため開発されたアドベンチャーバイク。なので、早速ダートコースへ向かわせます。

砂利が延々とつづくダートコースへの進入は、このバイクにとっては心構えは不要。砂利のギャップでハンドルバーが大きく揺さぶられることもなくバイクはグラベルを直進する。また、フレームのアンダーチューブには専用プロテクターが装備されるため、跳ね石にフレームを痛める危険性は低い。
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とりあえずペダリングすれば回転をスピードへ変換して荒れた砂利道を進むことができます。このあたりは2016年モデルと変化はありませんが、衝撃吸収性が上がっているのが確認できました。色んな路面のダートルートを走って分かったのが、タイヤの衝撃吸収能力が優れていることでした。
タイヤの重量は〈約730グラム〉と軽くはないのですが、衝撃をうまく緩和しているのがターマック(舗装路)でも実感できます。このタイヤは走行感も軽めとなっており、GIANTはグラベルバイク向けに高性能なタイヤを開発したようです。

新開発のタイヤは、ドライの状態であればグリップも良い感じ。また、フレームとフォークはアドベンチャー用に設計された強靭なモノであるため、フラットシングルトラック(獣道)の走行も可能。ちょっとしたギャップも抜重したり腕と足を活用して衝撃吸収すれば走破可能です。
ただし、ジャンプなどの大きな衝撃負荷を受け止める設計はされていないため、アグレッシブな走行は厳禁です。


登坂

日本は、狭い面積のフィールドに野山や谷が密集するところです。平地ルートでは登ったり下ったりの連続で、とくに峠越えは傾斜が大きいルートがおおく、変速性能を最大限に活用してクリアする必要があります。
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[SLR 2]のドライブ系は、26インチMTBに採用していたワイドレンジなギア比構成ですが、ホイール周りが29インチホイールセットと重くなるため、平地でスピードを稼いでいたアウターチェーリングを峠越えで使用することは殆どないでしょう。
私に『脚力がない』というのもありますが、峠越えで斜度がある坂道になると、センターチェーリングでもペダリングできなくなり仕方なくインナーチェーンリング(一番小さいフロントギア)で登坂することもありました。

Toughroadは、もともと荷物を積載して長距離ツーリングするバイクです。貧脚の私としては、長旅道具を積載した[SLR 2]標準のギア比構成(※1)では、峠越えは厳しいかもしれません。(※1…前:22/32/44T、後:11-34T)
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私が[SLR 2]にキャリアを装備してパニアケース等に積載するばあい、フロントチェーンリングを〈22/30/40T〉の構成にしたクランクセットに変更すると思います。このあたりのパーツ換装は現在検討中です。こういった標準仕様に適合するしないは、その人の体力や使用環境によって差がありますので、かるく参考程度にどうぞ。

今回は、基本的な走行についてのインプレでした。次回は、実走しながらハンドリングとコンポーネントの操作性をチェックする〔Toughroad SLR 2 レビュー《3:操作性》〕です。



タフロード長期レビュー

スポーツ自転車は、買ったあとも意外と手を加えることがあります。基本は、細かく身体に合わせたり(フィッティング)。さらに、自分の求める走り方に部品を交換したり、より軽快に走行できるよう軽量化したりと、乗り手に好みに合わせたアップデートができます。

タフロードは軽量化すればクロスバイクのように高速に走れ、グリップの良い太いタイヤをはかせれば悪路も走れ、荷物を積載すればロングツーリングも可能です。また、ドライブトレイン(変速機・ギア)を変更すれば脚力と走行フィールドに最適化した走行も可能です。

そのような多彩な方向性に対応できることを Toughroad で実施して『GIANT Toughroad 長期レポート』として長期レビューします。

GIANT Toughroad 長期レポート