2016 Toughroad SLR1 レビュー《1:詳細・重量》

GIANT(ジャイアント)は、2014年あたりからアドベンチャーバイクというジャンルへ参入。はじめはドロップハンドルバーを採用した『Anyroad(エニーロード)』。そして2015年には『Revolt(リボルト)』を市場投入。これらのバイクは、砂利道が数百キロ以上も続くルートを走る海外ユーザーにむけて開発され、ドロップハンドルに、太いタイヤの装着を可能にするタイヤクリアランスとディスクブレーキ対応フレームがトレンド。

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
さらに海外では、砂利道より荒れたルートを旅するユーザーも存在しており、ハードユースに耐えうるアドベンチャーバイクが展開されています。
このジャンルのバイクは、すでにSURLY(サーリー)やSALSA(サルサ)が得意な分野として以前からラインナップに多く揃えていたものです。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
そういったバイクユーザーに向けてGIANTがリリースしたのが、2016年から発売されている『Toughroad(タフロード)』です。このバイクは、MTBのよう太めの異形アルミフレームに、29インチホイールに2インチ(約50ミリ)幅のタイヤを装着して、操作性に優れるフラットバーハンドルを採用。また、前後にキャリアマウントを装備しパニアケースの取付を可能にしています。



GIANT Bikes

Toughroadを選んだ理由

私がアドベンチャーバイク『Toughroad』を購入した理由は、ある程度どこでも走れるサイクリングバイクが欲しかったからです。

普通のロードレーサーバイクは、どこでも走れないので選択から外します。また、岩場をガシガシ走らないためサスペンションを搭載するMTBも必要はありません。

意外とクロスバイクが価格もリーズナブルで使いやすいのですが、国内販売する多くのモデルは、フレームのトップチューブが短くヘッドチューブが長い上半身を起こしたポジションになるため好みでないジオメトリ(フレーム設計)です。あと、軽量モデルになると、ドライブトレイン(変速)がロード系パーツにしか対応しないため、悪路登坂では脚力が必要なペダリングになります。私は貧脚なのです…

ハンドルは、操作性に優れたフラットバーが好み。個人的に100キロメートル超のサイクリングでもドロップバーの必要性は感じていません。このあたりは好き好きで決めてよいかと。

そういった条件を満たしたのが、今回ご紹介するGIANT Toughroadなのです。

Toughroad SLR 1詳細

日本国内で販売される2016年モデルは『SLR 1』と『SLR 2』です。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
購入したのは上級グレードの『SLR 1』。ドライブトレインにはアドベンチャーバイクに最適化されたSRAM(スラム)2 × 10速を採用。SLR 2とはドライブ系のグレード差もありますが、前後キャリアを標準装備しているところは選択する価値があります。


バイクの重量

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
重量は前後キャリアを装着した状態で〈約11.9kg(ペダルレス)〉。とりあえずキャリアは使用しないため外します。ちなみに前キャリアを外したバイク重量は〈約11.6kg(ペダルレス)〉です。前後キャリアは4ミリのヘックスボルトで固定されており、専用工具があれば簡単に取外しが可能。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
キャリアを外すと29er(29インチホイール)MTBのようにスマートになりました。キャリア無しの重量は〈約10.8kg(ペダルレス)〉とアドベンチャーバイクとしては軽量。ハンドルやサドルが重そうなので交換すれば少しは軽量化できそうです。

ドライブ系とパーツ情報

ドライブトレイン

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
ドライブ系はフロントに[SRAM S1000 28/42T]ダブルチェーリング。アウターとインナーの歯数が少し離れていますが、このワイド設定によって高速域と登坂性能の両立をはたしています。
クランク長は〈170mm (サイズXS、S)〉。クランクはリーズナブルな価格帯ですが、アルミ表面にサンドブラスト処理がされており安っぽさはない。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
リアドライブ系は、ディレイラーには[SRAM GX]、カセットコグは10速の[SRAM PG1020 10S 11-36T]とMTB用パーツを採用することで、こちらもワイドレンジな設定。
リアアクスルは、MTBなどで標準的に採用するQR(クイックリリース) OLD 135mm。また、チェーンステイには、フレームデザインと合わせたチェーンガードが付けられています。


ホイール

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
ホイール周りは、リムが[GIANT SX-2 32H]とGIANTのオリジナルリムになっている。リムハイトは〈約23ミリ〉と少しだけ高めでアドベンチャーバイク向けた専用設計。ハブはコストパフォーマンスにすぐれる[FORMULA Disc 32H]。

タイヤ

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
タイヤは贅沢にも[MAXXIS MAXLITE SPEED 29×2.0]というMTB用のXC(クロスカントリー)レーシングタイヤを採用。超軽量で転がり抵抗が少なく、耐パンクにすぐれた独自設計構造を持つ。このタイヤの販売価格は1本1万円くらいだ。

XCレーシングタイヤらしくノブは低めでトレッドパターン密集させている。ターマック(舗装路)とグラベル(砂利道)でのバランスも良さそう。推奨空気圧は〈2.5~4.5ber〉。

ブレーキ

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
ブレーキシステムは油圧ブレーキで、ブレーキレバーは[SHIMANO M396]、ブレーキキャリパー[SHIMANO M395]で、ブレーキローターは160mmを採用。リアのブレーキマウントは、強力な制動力でもマウントやステイを歪ませない位置に設置される。

ハンドル / ステム

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
バイクのコントロールに重要なハンドルバーは、少しライザーがかかった[GIANT CONNECT XC RISER 31.8 640mm]29er MTBに多く採用されるハンドル幅(700〜740ミリくらい)よりは短く、クロスバイク用(580ミリくらい)と比べると長い。
29erホイールを楽にコントロールするのにも丁度良い幅。スイープは上と後ろ方向に大きめに入っているため、トップチューブが長めのフレームでもハンドルグリップに容易に手が届く。

ステム長・ライズ角は〈70ミリ・8度くらい〉。私は低い姿勢がとりたいため、ステムをひっくり返して一番下の部分へ装着しています。


サドル / シートポスト

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
サドルは[GIANT CONTACT FORWARD]というGIANT純正品。外国人ユーザーが多いバイクなのに、サドル上面の面積は予想外にコンパクトな感じ。実測では、長さと幅は〈約260ミリ、135ミリ〉。
サドルの両サイドはケブラー素材に覆われており、摩擦による破れにたいして耐久性を上げてる。サドルの厚みは予想より厚いが、クッション的に柔らさはなく適度に締まったかんじ。

形状としてはサドルの両サイドが少し落ちた感じになっており個人的に好みではないため、最初に部品交換するのはサドルになるでしょう。

シートポストはGIANT独自規格D-FUSE。ポスト断面形状がカマボコ型になっており、しなることでショックを吸収させている。特殊形状になるため通常の円柱ポストは使えません。
SLR 1にはカーボン素材のポストが採用され、軽量なうえに振動吸収性に優れている。シートポストの前部分にはミリ単位の数値がプリントされているため細かい調整がしやすくなっている。

次回は〔Toughroad SLR1 レビュー《2:実走》〕になります。



タフロード長期レビュー

スポーツ自転車は、買ったあとも意外と手を加えることがあります。基本は、細かく身体に合わせたり(フィッティング)。さらに、自分の求める走り方に部品を交換したり、より軽快に走行できるよう軽量化したりと、乗り手に好みに合わせたアップデートができます。

タフロードは軽量化すればクロスバイクのように高速に走れ、グリップの良い太いタイヤをはかせれば悪路も走れ、荷物を積載すればロングツーリングも可能です。また、ドライブトレイン(変速機・ギア)を変更すれば脚力と走行フィールドに最適化した走行も可能です。

そのような多彩な方向性に対応できることを Toughroad で実施して『GIANT Toughroad 長期レポート』として長期レビューします。

GIANT Toughroad 長期レポート